お花屋さん
お寺の花を買うために、月に数回花屋にいくようになったのはごく最近のことだ。
植物といえば、夏の向日葵と春の桜しか知らなかった私にとって、そこは未知の世界だった。
SMAPさんの「世界に一つだけの花」に出てくるように、まさにすべての花が「しゃんと胸をはって」咲いていた。それはとても美しく、綺麗だった。
花が入っているバケツにはプレートが立っていて、そこに値段と花の名前が書いてある。
「リン・・・ドウ」
素敵な花の名前にであったとき私にはとても心地よい時間が流れる。
深い青い花と緑の葉っぱを繰り返しながら咲くものをリンドウというのか。「りん」だけでいいじゃないか。そこになぜ「どう」をつけたのか、いや「どう」がつくことによって、この青の深さが余計うまく表現されているではないか。もうこの花は「リンドウ」以外の名前は似合わない。
次の花は、「クル・・・クマ」
大きめの葉っぱから茎を伸ばしポコっとかわいい花をさかせるものをクルクマというのか。「クルクマ」なんとも言いやすい。ポコっとした花の可愛さがまさに名前に表現されていて、この名前をつけたのはユーモアのある女性ではないかと想像する。そして、怖いおじさんが言ってもきっと可愛くなる。
次の花は、「ワレモ・・・コウ」
枝分かれする茎の先端に、赤みがかった茶色の花ようなものを咲かせるものを「ワレモコウ」というのか。見た目は地味だけども、芯の強い生き方をしてまっせと主張しているように思える。この花を選ぶ人は玄人だと言われているような気もする。
その他にも「ピペリカム」「ピンクッション」「スターチス」・・・魅力的な名前がたくさんある。あえて、名前の由来は聞きたくない。素晴らしい花の姿と名前を照らし合わせ、それを反芻しながらお腹が膨れる思いがする。これから冬になり、また花屋さんの花も変わってゆくだろう。どんな花に出会えるか楽しみだ。
この遊びをわかってくれるひとはいないと思うが、もしいれば一杯やりたいと思っている。
end
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