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掲示板の言葉 8月

「春秋を知らぬ蝉は 今が夏とも知らず鳴いている」

今月の言葉は、中国の曇鸞(どんらん)大師というお坊さんが、ご著書『往生論註(おうじょうろんちゅう)』に引用されている言葉です。
「蟪蛄(けいこ)は春秋(しゅんじゅう)を識(し)らずといふがごとし。この虫あに朱陽(しゅよう)の節を知らんや」
(春秋を知らない蝉は、今が夏とも知らずに懸命に鳴いている ※意訳)

季節は夏真っ盛り。山に囲まれたお寺には、蝉たちの懸命な鳴き声が響き、夏を夏らしく彩ってくれています。私たちは蝉が鳴くのは夏だと知っていますが、それは春夏秋冬という季節の巡りを知っているからです。当の蝉自身は、夏に地上に出てきて、夏の間に死んでいきますから、春夏秋冬があることすら知らず、当然、今自分が夏を生きていることも知らないというのです。蝉の一生は、儚さの象徴として小説などにもたびたび描かれてきましたが、今が夏と知らずに懸命に鳴いていることを思うと、一層儚さが深く感じられます。

昨年の12月に閉店しましたが、10年間、天文館で「坊主BAR」を開いていました。お酒を飲みながら、お客さまと様々なお話をさせていただく場所です。その中で、屢々投げかけられたのが、「生きる意味って、何ですか?」という問いでした。そう尋ねる方は、みなさん真剣な表情をしておられました。良い答えをお伝えできたらよかったのですが、私も生きる意味を知らぬもののひとりです。ただ、その方と一緒に「生きる意味」を考えさせていただくばかりでした。

私たちもまた、この命がどこからやってきたのかという「命の春」と、この命が終わったらどこへ向かっていくのかという「命の秋」を知りませんから、夏を知らずに懸命に夏を彩る蝉と同じように、生きる意味を知らぬまま精一杯生きるよりほかないのかもしれません。

浄土真宗の仏さまを阿弥陀仏と申します。阿弥陀仏は、そんな私たちに「あなたがなぜ生まれてきたのか、死んだらどこへ向かうのか、命の春も秋もすべて私がわかっているから、安心して私にまかせなさい」と呼びかけてくださっています。その仰せの中で、生きる意味を知らされながら、大きな安心をいただく暮らしがひらけていきます。                   合掌

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