掲示板の言葉 9月
「亡き後も、親孝行は間に合う」
親を亡くして、初めて見えてくることもたくさんあります。「もっと話を聞いてあげればよかった」「あの時、あんな言い方をしなければよかった」そんな後悔に苛まれた経験をお持ちの方も、多いのではないでしょうか。しかし、浄土真宗の教えをいただきますと、亡き別れたあとであっても、親孝行が間に合ってゆく世界がひらけていきます。
宗祖·親鸞聖人(しんらんしょうにん)は、このようにうたわれています。
「安楽浄土(あんらくじょうど)にいたるひと五濁悪世(ごじょくあくせ)にかへりては釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)のごとくにて利益衆生(りやくしゅじょう)はきはもなし」『浄土和讃』
南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)のはたらきによって、命終わる時に、お浄土という安心の世界(安楽浄土)に生まれていかれた方は、残してきた私たちを心配して、再びこの苦しみ多き世界(五濁悪世)に還ってきてくださる。そして、お釈迦(しゃか)さまが人々を導かれたように、「あなたも南無阿弥陀仏とともに、むなしく終わらぬ人生を歩んでほしい」と願ってくださっていると示されます。
数年前、ある葬儀に参列したときのことです。導師は九十歳になろうかという浄土真宗の僧侶でした。法話の中で、喪主の長男さんに「お前さん、親孝行したか」と尋ねられました。地元を離れ、東京で仕事に追われ、親の最期にも立ち会えなかった長男さんは、せきを切ったように泣き始めました。すると僧侶は言われました。「親孝行は、まだ間に合うぞ。お父さんは今、浄土へ生まれていかれた。そんなお父さんが何より心配しているのは、これから苦しみ多い世を生きていくあなただ。南無阿弥陀仏は、あなたの苦しみや悲しみを受け止め、ともに生き抜いてくださる仏さまだ。これから“南無阿弥陀仏”と念仏を称え、仏さまと一緒に生きていきなさい。その姿を誰よりも喜んでくださるのが浄土のお父さんだ、だから親孝行は間に合うからな」と。
親に限らず浄土へ参られた方は、残された私たちのことを心配し、南無阿弥陀仏に出遇ってほしいと願ってくださっています。亡きあとにも、親孝行の道はあるのです。
合掌





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